タップ交換方法(道具紹介と動画による手順)

ここではKAMUIがおすすめするタップ交換の道具&手順を紹介していきます。

ビリヤードはプレーするが、自らタップを交換できるプレイヤーは多くないのが現実です。

しかしながら、自ら使用する道具の交換やメンテナンスを自分で行えるということは、プレーアビリティの向上と共に上達の過程で必要不可欠な要素になります。

自ら使用する道具のメンテナンスを自分の手で行うことにより、道具に対する知識やこだわりが生まれ、自分のコンディションやプレースタイルに合わせた道具を選ぶことができるようになるのだとKAMUIは考えます。

特に、タップはビリヤード用品の中で唯一手球と接触する部分であるので、プレーパフォーマンスに甚大な影響を与えてしまいます。

このタップの交換やメンテナンスを自ら行えるということは、プレーパフォーマンスの向上を目指すプレイヤーに必要な要素であることは間違いないでしょう。

ここで紹介する方法は数あるタップ交換の方法の中の一つであるので、基本的なポイントを押さえた上で自らアレンジして良いでしょう。

但し、大切なことは各工程を何のために行うのかというポイントは必ず押さえることが重要です。

各工程にはそれぞれの目的があるのでそのポイントだけはしっかりと押さえて下さい。

①タップ交換に必要な道具

タップ交換に必要な道具

左から順に、

a, カッターの刃 (切れ味が悪い刃は怪我につながるので、毎回新しいものを使用すること)
b, 革包丁 (切れ味が悪いものは作業性が悪く、怪我の恐れがあるため、頻繁に研ぎ切れ味を維持すること)
c, ペーパーナプキン (ティッシュでも可)
d, タップ装着用瞬間接着剤(多用途用が良い)
E, サンドペーパー (1500~2000番)
F, マスキングテープ
G, ゴム板
H, タップにRをつけるためのやすり (金やすりでは先角を傷つける恐れがある為、やすり部の面積が広いものを使用すること)

②古いタップの切り取り~先角の平面だし


1、古いタップを革包丁で切り落とします。すべてを切り落とす必要はありません。

2、革包丁を先角に押し当て、残っているタップを取り除きます。

3、カッターの刃を先角に押し当て、先角をくるくる回しながら平面だしをします。カッターを強く押し当てすぎると怪我の恐れがあるので軽く押し当てて下さい。白いカスが出てきますが、これは先角ではなく、ほとんどが瞬間接着剤のカスなのでご心配なく。

4、先角の平面が出たらマスキングテープを巻きます。

③タップの平面出し

1、タップをつまむように持ち、カッターの刃をタップに当て左右に動かします。

2、90度ずつタップを回転させ、満遍なくタップの平面を出します。

3、タップを置いた状態でカッターの刃を当て、ぐるぐるとタップを回転させて削っても良いです。刃の当たり加減が均等になることが重要です。Glueのスタンプが無くなるまで削りましょう。

4、平面出し後、カッターの刃を当て平面が出ているか確認をします。

5、削りカスをきちんと取り除いておきましょう。

POINT:  サンドペーパーで平面だしをする方法もありますが、力を均等にかけるのが難しく、平面を出すのが難しいためお勧めできません。カッターの刃をタップと平行にし、刃とタップが離れないように削るのがコツです。

④接着工程


1、接着剤を用意します。 タップ接着に適した市販の接着剤としてセメダイン製の3000多用途をおすすめしています。先角の中には接着しにくい素材を使用している場合があるので多用途を使うようにしてください。

2、タップの中心に少量の接着剤を山なり状態(水滴のように)に塗布します。適正な量は先角とタップを圧着した際に、接着剤が少量はみ出す程度です。決して接着剤を平らに塗布しないようにして下さい。接着する前に接着面が重合反応を起こし、接着力が低下します。又、瞬間接着剤は接着膜が厚ければ厚いほど接着力が低下する為、大量に塗布してはいけません。

3、接着剤塗布後、速やかに先角をタップに押し付け圧着して下さい。タップを手に持ち先角に接着しても良いですが、先角をタップに接着するほうが接着剤が均一に広がるので接着のムラがなくなります。接着面に空気が入るため、先角をあまり左右に動かさないようにタップに対して垂直に力を加え圧着して下さい。

4、 タップを指で押し付けさらに圧着し、側面からはみ出た接着剤をふき取り、接着剤が硬化するのを待ちます。(接着剤によりますが、1~2分程度待ちます。*瞬間接着剤は空気中やタップに含まれる水分と反応し硬化します。)

⑤タップの側面粗削り

1、マスキングテープを巻いたまま、タップを下にしシャフトをゴム板の上に立てます。

2、革包丁をでタップの側面を荒削りしていきます。マスキングテープの上を滑らせるように革たちを動かして下さい。動画のように初めは軽く、次にざっくりと切るように2段階に分けると作業し易いです。後で側面の本削りをするので、ここではざっくりと側面を落とすだけと考えて下さい。

POINT:  革包丁の刃先を常に良い状態に保って下さい。切れ味の悪い刃は怪我につながりますし、出来栄えも悪くなります。

3、マスキングテープを取ります。

⑥タップ側面の本削り


1、革包丁の刃先付近を持ち、タップに刃先を押し付けます。できる限り先角と刃先が平行になるようにしてください。革包丁持ち方は動画を参考にして練習して下しさい。

2、シャフトをクルクルと回転させ下側から上側に向けて少しずつ削ります。動画のように刃物と先角の間にサンドペーパー等を挟むと刃がきれいに入ります。慣れないうちは数回に分けて削るようにすると良いでしょう。

3、側面削りが終了後、タップの先端のRを革包丁で仮取りしておくと後の作業が楽になります。

POINT:  この工程が一番習熟を要するところです。しかしながら、以下のポイントを守りつつ、練習を繰り返すことにより誰でも習熟することができます。

a, 切れ味の良い革包丁を使用する。この作業においてはかなり重要なポイントです。頻繁に刃先を研ぐようにしてください。

b, 革包丁を先角と平行にする。

c, 革包丁の刃先をタップに対して角度を付ける。刃物は対象物に対して一定の角度がないとうまく切れません。必ず動画のように刃先をタップに対して角度を付けてください。

d, 革包丁を動かすのではなく、シャフトをクルクルと回すようにして下さい。

⑦R削り


1、椅子に座り、両膝にシャフトを置きます。細めの金やすりでは先角を傷めることがあるので、面積の広いやすりを使用して下さい。(動画では東急ハンズで購入でした「マジックサンダー #180番」を使用しています。

2、シャフトを前後に動かしながらやすりを好みの角度に当てます。シャフトとやすりを反対方向に動かすようにするとより早く削れます。慣れないうちは先角を傷めないようにマスキングテープを巻いておくと良いでしょう。

3、ある程度Rがついたらシャフトを立てて、少しずRを微調整していって下さい。積層タップの場合は上から下にやすりを動かして下さい。下から上に動かすと接着面に負担がかかります。

⑧仕上げ

1、適当な大きさの耐水サンドペーパー(1500~2000番)を用意し、先端を折り曲げます。

2、折り曲げた部分をタップに押し付しつけ、先角を削らないようにR削りの時と同じ要領でシャフトを動かしながらタップの側面のやすりがけをします。しっかりとやすりがけをすることによって側面の光沢が増すので根気強く行ってください。

3、やすりがけが終わったら、唾や革専用のバニッシャー等を側面に塗り、ラッシャの切れ端やペーパータオルなどで磨きます。側面を磨くことによりコーティング効果が生まれ、タップ内部の保湿に役立つので必ずこの工程を行って下さい。

4、動画にはありませんが、最後にチョークをタップの繊維内に叩き込みます。チョークを塗り、金やすりでたたく工程を数回繰り返して下さい。

5、先角の掃除、Rの微調整を行えば作業終了です。
まとめ

ここではタップの交換方法を紹介してきました。幾つかは練習を要する工程もありますが、誰にでも習得できるものだと思います。

慣れない内はタップが斜めになったり、表面がでこぼこになったりしますが、これも練習のうちだと思って根気強く練習して下さい。

上記に紹介した方法以外にも色々な良い方法があると思います。自分なりの交換方法を編み出すことによってタップ交換がより楽に楽しくなると思います。

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