ビリヤードのプロプレーヤーになると決断した瞬間があったのでしょうか?
はい。当時二十歳で、夜間学校でコンピューターサイエンスの勉強をし始めて6ヶ月経っていた時でした。周りは年上ばかりで、ただ修了書が欲しいだけの人たちばかりでしたので、環境としてはかなり不満だったことを覚えています。ただ通っていたのが夜間学校だったため日中はビリヤードの練習ができていました。
勉強はしていましたが、一方でその時の自分は、アメリカに行きビリヤードで成功できるか試してみるということが一番の夢でした。ある日両親にそのことを話したところ、彼らも応援してくれました。(初めの航空券を買ってくれたのはお父さんです)その2週間後、アメリカに旅立ちました。人生最大の冒険ですね!
アメリカに渡った後は、ジョー・ケール(Joe Kerr, 前PBTAトーナメントのトップ)を訪ねて行きました。彼は私を戦場に投げ込みましたね。トレーニングキャンプに来たと思っていましたが、その場で100%全力を尽くすか、ヨーロッパに帰るか二つに一つでした。結果、自分は出来ると分かり、その後の2週間でのプレーはほとんどのセットを取ることができていたんです。
その後、その場所に再訪して1ヶ月滞在したり、2回ほど6ヶ月の滞在もしました。ロードトリップもたくさんしましたね。22歳までにはアメリカをたくさん知り、その後ヨーロッパに戻り、プロになりました。
一番影響したインパクトのある瞬間について教えてください。
2011年のWorld 8 Ballの決勝ですね。12先の試合でヒルヒル、ブレイクが自分だったのですが、ノーインとなってしまい負けた時は本当に悔しかったです。
この2−3年後の目標は何ですか?
自分の中では、自分にはまだ得意なことがある、そしてそれを見出して実現させるのは自分自身だと感じています。
今(COVID-19の影響で)は家に留まらざるを得ないですが、その間オンラインで学べるプロジェクトを進行させています。これまでにこれほどクールなことを成し遂げたことはないですね、球を撞く以外では。
すごく時間を投資していて、もうすぐ完成というところです。詳細はまだ秘密ですが、ゴールを自由に設定できるコースということと、Terminator Collegeというのがキーワードですかね!
大きな試合に向けての準備の仕方を教えてもらえますか?(トレーニングや、試合前のルーティンなど)
まず、イベントの前には厳しい練習をすでに終えているので、試合期間中は、最終調整をして、体力的にも精神的にもシャープになっておくことが重要ですね。
バランスを崩さないためにも健康と体力を維持していたいので、1日おきにジムかプールで泳ぐことにしています。試合1時間前には、出来るだけ周りをシャットアウトして集中し、メンタルも身体も試合のモードにさせています。
誇りに思う瞬間を教えてください。
2014年のWorld 9 ball優勝です。その数年前には、8ボールの世界選手権で2年連続決勝で負けていました。世界選手権での決勝に1度進むことでさえ難しいものですが、もうないかもしれない優勝というチャンスを手にするために全力で挑みました。
特に戦術とメンタルについては本当に意識をしましたし、さらには決勝の場の魔物に呑みこまれないようにしないといけませんでした。優勝を手にした時は、本当に報われました。これまでの人生で一番の試合ですね!
逆に情けないなと思う瞬間とは?
心がぐらつく時ですかね。日々常に平静を保とうとしていますが、当然のことながらあちこちでうまくいかないことがあります。
2019年この冬のドイツ・ブンデスリーガでの出来事ですが、テーブルにジャンプキューを当ててしまって、タップが取れてしまいました。なんと、そのビリヤード場ではつい数日前にテーブルを新調したばかりだったんです!スタッフはいい気持ちがしないですよね。その瞬間は情けなく思ったし、店にも謝りました。私も人間だということです。
15歳のニールスにアドバイスするとしたら、何でしょう?
どんなゲームでも挑戦するということ。どんなゲームでも、得るものがあるのです。合わせて、トレーニングでは毎回少なくとも3割は戦術に時間を割くこと。
振り返ってみたら、15歳あたりの時はパワーゲームが全てでした。実際それが大好きでしたしね。でも戦術については長い間全くダメでした。戦術の重要性に気づいてからは時間を投資し、今となってはとてもよく理解しています。若い頃にはここぞという時のキックショットなんてできませんでしたから!
レベルアップを目指しているプレーヤーたちへアドバイスをお願いします。
前述と同じようなことですかね。一生懸命取り組む。そして賢くあること。メンタルな要素も踏まえ様々な角度、観点で取り組むことです。Terminator Collegeは良いサポートになると思いますよ!
仕事とプライベートのバランスを保つ秘訣は?
家にいる時は、子供たちを学校に送った後午前中に練習をします。その後は週3回は自転車に乗ったり、庭でのエクササイズ、冬の間はプールに行きます。午後3時頃には全てが終わるので、その後は家族と過ごします。
1年のうち5ヶ月は試合で家にいない生活なので、家にいる時はそのスケジュールがバランスを保ってくれています。