Interview with professionals – 決して止まらない男 トーステン・ホーマン

ThorstenHohmann

長い試合の際、どうやって冷静さを保ちますか?

私たちはみんな俳優です。他人から見たら、感情が無くナーバスになったりもしないと思われるかもしれません。しかし実際は、1試合で天と地を行ったり来たりしています、私たちも人間ですから。

大切なことは、プレッシャーにどのように打ち勝つかということです。長い間プレーしてきてあらゆる事を経験してきましたが、結局は、最後には準備と経験が物を言う、という事だと思います。宿題をきちんとしてもうこれ以上ないほど練習をすれば、練習をしていない人たちよりも自分がもっと準備が出来ているはずだとわかります。準備が出来ていない人はそれだけで自分にプレッシャーを与えているのです、だってプレッシャーを無くすほどの準備が出来ていないのですから。

例えばライブ配信テーブルでプレーをしたことがあるか?チームで戦ったことがあるか?最悪のコンディションに陥ったことがあるか?会場が完全にアウェーの状況で戦ったことがあるか?使っている道具に問題があるか、プライベートは上手くいっているのか?など。

様々な経験により、自分をどのようにコントロールするかを知ることができるのです。ナーバスにならないためには、ということではありません。誰だってナーバスになるになるのです。ナーバスになるときに、どう対応するか、ということなのです。私は27年プレーしてきて、あらゆる経験をしてきました。自分のミスで土壇場で負けてしまうこともあったし、精神的に落ち込んでいたり、立ち直ったり。落ち込んでいてどうしていいか分からない時も、結局は自分のベストを尽くすしかないのです。

ただ一つ、自分はある特性を持っていると思います。それは決して諦めないということ。常に挑戦すること。

11先のゲームで、例え10ゲーム負けていて相手があと1つ沈めるだけとしても、最後に相手が沈めるまでは負けが決まるのではないし、一つのショットで全てが変わる試合もたくさんあるわけです。自分が取り返した場合は、特に相手に相当なプレッシャーを与えるでしょう。そしてゲームごとに相手に忍び寄っていくと、相手はさらにプレッシャーがかかりますよね。あとは試合結果がどう転ぶかです。

スランプを経験していますね。その時のことについて教えてください。

現在活躍している選手を見てみると、みんなかなり若いですよね、ジョシュア・フィラー、エクレント・カチ、ジェイソン・ショウなど。彼らはまだハングリーです、だってまだまだ勝つべきトーナメントがありますから。30年近くプレーしてきて、すでにほとんどのメジャーなトーナメントで優勝して、かつポケットビリヤードは政治的に少し複雑な状況もありますから、それらを踏まえると、自分自身のモチベーションを保つ理由を見つける必要がありますし、それはチャレンジングです。

誰もが参加したいトーナメントがありますが、なかなか参加するのが難しいです、特に自分の場合は。私はドイツ出身ですが、競争が激しく、1つもそしくは2つのスポットを狙ってみんな競い合っているのですが特に今はジョシュア(フィラー)が圧倒的に強いですから、非常に難しいんです。でも、プールは私のパッションですし、ベストのプレーをしていると思っています。

一般的に、どこも競争は激しくなっています。11年振りにヨーロピアン・チャンピオンシップに出場しましたが、特に東ヨーロッパに多くの強い選手がいることが分かりました。アルバニア、セルビア、クロアチア、ポーランド、ロシアなど。ロシアはヨーロピアン・チャンピオンシップではベスト国でした!全ての選手が強いので、時間が経つにつれてどんどん難しくなるでしょう。

でも自分にはまだまだたくさん良いところがあります。KAMUIとCyclopに加え、Molinari cues、Gabriel tableの新しいスポンサーも得ることが出来ました。それに!新しいキューも手に入れたんです。これまでずーと普通の昔ながらのウッドシャフトを使ってきたのですが、ここにきてようやくローディフレクション・キューに変え、そのことが大きなモチベーションになっていますね。

自分のモチベーションをあげるには、小さなことに目を向けるべきですね、それが実際に自分にいい結果をもたらしてくれるものです。試合を学び直すみたいな感じですね、全くの1からではないですが、それでも新しい始まり、ということです。

ThorstenHohmann

仕事とプライベートのバランスを教えてください。

ビリヤードをするということは、多くの移動と人に会うことという特権だと感じます。旅行をするときには多くの友達を作ることが出来るし、今この瞬間にでも20の違う場所に居たいと思うほどです。これまでにあちらこちらでたくさんの素晴らしい友人ができましたからね。幸運なことに、自分の仕事はたくさんの移動が伴います。今日はイタリア、次の日にはタイ、またその次の日にはニューヨークといった感じで。その状況を楽しんでいますね。

また、多くの良いトーナメントを探す努力をしています。大抵の場合、年の初めは何週間も全くトーナメントがない時期があり、年の後半には2ヶ月ほど休みなくトーナメントに出場することになります。大きなトーナメントでもそれ以外の小さなトーナメントでも、出場して決勝トーナメントに残るようプレーしています。新しい場所に行くことが大好きですし、KAMUIが様々なプロジェクトに呼んでくれるのでとてもハッピーです。最近では初めてモルディブ、モンゴル、ニュージーランドに行くことができ、とても良い経験でした。

私は、自分のやっているスポーツを最大限に表現したいです。人々をインスパイアし、自分の情熱を共有したいと思っていますし、自分の体験とストーリーを共有することでビリヤードのコミュニティを成長させることができればと思っています。

ThorstenHohmann

これからまだまだ伸びる選手にとって役に立つような精神的戦略とは何でしょう。

前述しましたが、準備、の一言です。自分自身が頼りにできる、動かない土台を得るために練習すれば良いのです。道具のせいとか、対戦相手や観客などのせいにしてはいけません。自分が成長できる唯一の方法は、取り組む度に良くなること、それを見つけるということです。自分自身を悪い状況に追い込むことを恐れてはいけません。

例えば、「トーナメントに行くべきか、それとも家にいてテレビを見るか」と考えたりすること。外に出るんです!自分より上手な人とプレーできる機会が常に転がっているのですよ。もしかすると怖いと思うかもしれません。でも、やるんです。そして何かを得て、質問しましょう。私は学びたいと思う人に手を差し伸べることをいつも楽しんでますよ。

プレーヤーの中には、自分の秘密にしていることを教えてしまうと、それを逆に使われてしまうと考える人もいます。私は、そうではなく、共有すればするほど自分自身に返ってくるものが大きくなると思っています。全てを自分のものにする。それはライフスタイルです。

ビリヤードは最高です。ハードコアなスポーツだけれども、それと同時に、多くの良い友人を作ることができるとてもソーシャルな活動でもありますね。

世界中どこでも、私たちみんながビリヤードという同じ言語を話しているのですから。

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